高速道路

五色桜大橋

荒川上に架かる首都高速中央環状線(C2)の橋。橋長146.2mのダブルデッキ式ニールセンローゼ橋として2002年12月に開通し、この構造形式では世界初の事例を記録した。

五色桜大橋
写真: Ray Swi-hymn from Sijhih-Taipei, Taiwan / CC BY-SA 2.0 (Wikimedia Commons)

桜の名所が生んだ橋の名

足立区の荒川の上空を、首都高速中央環状線(C2)の橋がゆるやかなアーチを描いて渡っている。橋の名は五色桜大橋——「五色の桜」を意味するその名は、東京の古い記憶に由来する。

かつてこの一帯の荒川堤には色とりどりの桜が密植された名所があった。「五色桜」と呼ばれたその場所は、明治・大正期に花見の行楽客を集める東京近郊の名所として知られていた。その景観はやがて移ろったが、名所の記憶は橋の名として引き継がれた。

橋は首都高速中央環状線(C2)の江北ジャンクション(JCT)と板橋JCTを結ぶ区間の荒川渡河点に位置する。2002年12月の開通時、橋長は146.2メートル、最大支間長は142.2メートルにおよぶ。この橋が土木史に名を刻んだ理由は、その数字ではなく構造形式にある。

2層を重ねた世界初の橋

五色桜大橋が土木の世界に名を残す理由は、「ダブルデッキ式ニールセンローゼ橋」という構造形式にある。上層が内回り(板橋方面)、下層が外回り(江北方面)という2方向の車線を一つのアーチに2層に重ねた形で、2002年の開通時点で世界初の事例となった。

ニールセンローゼ橋とは、アーチとそこから斜めに引かれた多数の吊り材(ハンガー)を組み合わせた橋梁形式だ。斜材が荷重を効率よく分散するため、通常のアーチ橋に比べて桁を薄くしながら長い支間を渡ることができる。この形式に2方向の車道を組み込み、橋全体を水面から約53メートルの高さに収めた設計は、荒川の広い川幅を越えるための工学的な答えだった。

首都高速道路の中央環状線は都心を取り巻く環状路として計画されたが、荒川という大きな障害をいくつかの渡河点で越えなければならない。五色桜大橋はそのうちの一点であり、スリムなアーチに2層の車線を収めることで橋全体のボリュームを抑えた。その先進性は2002年の土木学会田中賞受賞という形で評価されている。

夜間にはアーチ沿いに白いLEDが108基点灯し、荒川の水面にシルエットを映し出す。

まとめ

五色桜大橋は2002年12月開通、橋長146.2メートルのダブルデッキ式ニールセンローゼ橋だ。花見の名所に由来する穏やかな名のもとに、世界初の構造形式を実現した土木技術が凝縮されている。今も首都高速中央環状線(C2)の荒川渡河点として機能しながら、夜はアーチがLEDの光を纏う。

荒川の河川敷に出て橋を見上げると、2層の桁がひとつのアーチへ収束していく構造美を間近に確かめられる。北区・足立区を訪れた際には、川岸から橋を眺める時間を作ってみてほしい。

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参考・出典

  • 日本橋梁建設協会 国内橋梁データ(jasbc.or.jp)—橋長146.2m・最大支間142.2m・2002年12月開通
  • 乗りものニュース「首都高C2中央環状線 失われた世界初とは?」(trafficnews.jp)—ダブルデッキニールセンローゼ橋として世界初・土木学会田中賞2002年受賞
  • 首都高ドライバーズサイト 五色桜大橋(shutoko.jp/fun/lightup/goshikizakura/)—位置(江北JCT〜板橋JCT)・白いLED108基・名称の由来(荒川堤の五色桜の名所)
  • Weblio辞書 五色桜大橋—水面から約53m・橋長146m・最大支間142.2m

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