九段会館テラス
2022年10月開業、千代田区九段南に立つ地上17階・高さ74.97mの複合オフィスビル。1934年竣工の旧九段会館(登録有形文化財)の外観を保存しながら背後に新棟を立ち上げた歴史継承型の再開発。

- 用途
- オフィスビル
- エリア
- 千代田区
- 竣工
- 2022年
- 階数
- 地上17階/地下3階
- 高さ
- 74.97m
- 開発
- 合同会社ノーヴェグランテ(東急不動産・鹿島建設JV)
- 設計
- 鹿島・梓設計共同企業体
歴史の外皮を残した17階建ての試み
千代田区九段南、半蔵門線・都営新宿線・東西線の九段下駅から徒歩1分。そこに、古い外壁が新しいビルを抱え込む光景がある。九段会館テラス——2022年10月に開業した地上17階・地下3階・高さ74.97メートルの複合オフィスビルだ。東急不動産と鹿島建設の共同出資による合同会社ノーヴェグランテが開発を担い、鹿島・梓設計共同企業体が設計を手がけた。
地下鉄出口のすぐ脇に、昭和初期の帝冠様式を思わせる石造ファサードが残されている。1934年(昭和9年)に竣工した旧九段会館は、軍人会館として建設された政府施設であり、戦後は宿泊・宴会施設として民間に転じた。六角堂風の屋根と重厚な外壁は登録有形文化財にも指定され、九段下の風景に長く溶け込んできた。しかし2011年の東日本大震災で天井が崩落し、人命が失われる事故が起きた。その後の機能停止を経て、老朽化と耐震性の問題から建替えが決定した。
保存と更新が同居する立面
設計の核心は「歴史の外皮を残しつつ、現代のオフィス機能を加える」という点にある。旧会館の正面外壁はそのままに、背後から新たな17階建て棟が立ち上がる形で計画された。旧外壁と新棟は構造的に分離されており、既存の石造外観を傷つけることなく高層の新棟を支える工法が採られた。この手法は「ファサードリテンション」と呼ばれ、欧米では先例があるが、日本での実施例はまだ多くない。完成した建物は、外から見ると昭和初期の外壁の奥に現代的なガラスのタワーが透けて見えるという二重構造を持つ。
低層部の一部は多目的ホールなどに活用されており、九段下エリアの文化・業務拠点として機能する。靖国神社や千鳥ヶ淵に近い立地は、桜の季節には特に多くの人を集めるエリアだ。
まとめ
九段会館テラスは2022年竣工、地上17階・高さ74.97メートル。1934年建設の旧九段会館の登録有形文化財ファサードを保存しながら新棟を立ち上げた、歴史継承型の再開発の先進例だ。九段下の街角に過去と現代が重なるこの建物は、東京の都市開発が蓄積をどう扱うかの一つの答えを示している。靖国神社や千鳥ヶ淵を巡る街歩きの途中に、立ち止まってみてほしい一棟だ。
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参考・出典
- 東急不動産プレスリリース「九段会館テラス」2022年10月開業
- 文化庁 登録有形文化財「旧九段会館」
- 鹿島建設・梓設計 設計施工記録
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